Last Updated on 2026年10月5日 by おおつか内科・消化器内科・IBDクリニック
10月に入り、朝晩は涼しく快適に過ごせる日が増えてきました。しかし同時に、「なんとなく体がだるい」「胃のあたりが張る・重い」「食欲が出ない」「便秘や下痢を繰り返す」といった症状に悩まされてはいませんか?
秋は1年の中でも朝晩と昼間の気温差(寒暖差)が非常に大きく、体に大きな負担がかかる季節です。特に近年は夏から冬への移行が急で、秋の変化の勾配が激しいことが特徴です。こうした寒暖差によって引き起こされる身体の不調は、近年「寒暖差疲労」や「秋バテ」と呼ばれ、注目を集めています。夏バテの次は秋バテですか。。。
特に、胃や腸は自律神経の大きな影響を受けるため、寒暖差による負担が胃腸の不調として顕著にあらわれやすいのが特徴です。
本記事では、10月に増える体調不良のメカニズム、自律神経と胃腸の関係、そして病院受診の目安について分かりやすく解説します。
10月に「なんとなく不調」が増える理由
10月は過ごしやすい気候に思えますが、実は身体にとってストレスが大きくなりやすい環境が揃っています。主な理由は以下の3点です。
① 激しい気象・気温の変化(寒暖差)
秋は日中の最高気温が25度を超える日がある一方で、朝晩は15度近くまで下がり、1日の中で10度以上の寒暖差が生じることが少なくありません。近年は特にこの傾向が強いようにも感じます。身体が急激な温度変化に適応しようとエネルギーを過剰に消費することで、疲労が蓄積していきます。一般的に、前日や朝夕の気温差が7度を超えると「寒暖差疲労」を起こしやすいとされています。
② 自律神経の酷使と乱れ
私たちの体温調節を担っているのは自律神経です。自律神経には、交感神経(体を活発にする神経)と副交感神経(体を休める神経)があり、環境の変化に応じて交互に働くことで体温や代謝を一定に保っています。 しかし、急激な気温差が続くと、自律神経が休む間もなく働き続けなければならず、次第に機能低下(自律神経の乱れ)を起こしてしまいます。
③ 夏の疲労蓄積(夏バテの持ち越し)
近年多いのがこの夏バテの延長戦です。暑すぎる夏場に冷たい飲み物や食べ物を摂りすぎたり、エアコンの効いた室内と外気の往復でダメージを受けたりした胃腸や自律神経の疲労が、秋になって表面化するケースも多く見られます。
寒暖差疲労が胃腸の不調を引き起こす仕組み
自律神経の乱れと胃腸の働きには、非常に深い関係があります。消化器官は自律神経によって完全にコントロールされているため、自律神経が乱れると真っ先に胃腸へ影響が及びます。
胃腸のコントロールと自律神経の役割
- 副交感神経が優位なとき(リラックス時): 胃腸の血流が増加し、消化液の分泌や蠕動(ぜんどう)運動が活発になります。
- 交感神経が優位なとき(ストレス・体温調整時): 胃腸への血流が減少し、消化活動が停滞・抑制されます。
寒暖差によって自律神経が疲弊すると、交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズにいかなくなります。その結果、以下のような症状が現れます。
10月に起こりやすい胃腸の不調・症状
- 胃もたれ・食欲不振: 消化液の分泌が減少し、胃の動きが低下することで食物が消化・排出されにくくなります。
- 胃痛・胸やけ: 自律神経の乱れにより胃酸の分泌バランスが崩れ、胃粘膜がダメージを受けやすくなります。
- 腹痛・下痢・便秘: 腸の蠕動運動が正常に機能しなくなり、便秘と下痢を交互に繰り返す「機能性消化管障害」や「過敏性腸症候群(IBS)」の症状が悪化することがあります。
- お腹の張り・ガス(膨満感): 腸内環境の悪化や腸管の動きの低下により、お腹にガスが溜まりやすくなります。
チェックリスト:あなたは大丈夫?「秋の寒暖差疲労」診断
ご自身の状態をチェックしてみましょう。以下の項目に3つ以上当てはまる場合は、寒暖差疲労による自律神経の乱れや胃腸低下が起きている可能性があります。
- 朝起きたときから身体が重く、疲れが取れていない
- 胃がもたれる、食後にみぞおちが張る感じがする
- 便秘気味、または便が緩くなりやすい(下痢しやすい)
- 頭痛や肩こり、めまいを感じることが増えた
- 手足やり末端に冷えを感じる
- 日中の最高気温と朝晩の気温差に服装を合わせづらい
- 夜、途中で目が覚めたり寝付きが悪かったりする
- 湯船には浸からず、シャワーだけで済ませることが多い
注意すべき病気と病院受診のタイミング
「寒暖差疲労や秋バテだろう」と思って様子を見ていても、症状が改善しない場合や悪化する場合は、胃腸の疾患が隠れている可能性もあります。胃腸の症状は胃腸が元気過ぎる場合の症状と弱っている場合の症状は非常に似通っており、私たちでも症状だけでいずれかの判断をすることは困難な場合も珍しくありません。
注意したい主な胃腸疾患
- 機能性ディスペプシア(FD): 胃カメラなどの検査で腫瘍や炎症などの異常が見つからないにもかかわらず、胃もたれ、みぞおちの痛み、早期満腹感(すぐにお腹がいっぱいになる)などが続く病気です。自律神経の乱れやストレスが大きく関与しています。
- 過敏性腸症候群(IBS): 腸に明らかな病変がないにもかかわらず、腹痛を伴う下痢や便秘を長期間繰り返す疾患です。精神的・身体的ストレスや自律神経の乱れが引き金となります。
- 慢性胃炎・消化性潰瘍(胃潰瘍・十二指腸潰瘍): 自律神経の乱れによって胃酸過多になり、胃や十二指腸の粘膜が傷つくことで引き起こされます。
消化器内科を受診すべき注意症状
以下のような症状がある場合は、自己判断で放置せず、消化器内科や内科を受診されることをお勧めします。
- 市販薬を服用しても胃痛や胃もたれが1週間以上改善しない
- 体重が急激に減少している
- 吐き気や嘔吐がある
- 便の色がおかしい
- 食事をとるのがつらいほどの強い腹痛がある
当院では、問診や専門的な診察をはじめ、必要に応じて胃カメラや大腸カメラを実施し、辛い症状の原因を的確に診断いたします。
まとめ:ピンチをチャンスに!
10月は気候が良く過ごしやすい反面、朝晩と日中の大きな寒暖差により「自律神経の乱れ」や「胃腸の不調」が起こりやすい季節です。
「たかが寒暖差」「季節の変わり目だから仕方ない」と放置せず、改善しない胃もたれ、胃痛、腹痛、便通異常などが続く場合は、我慢なさらずお気軽に当院までご相談ください。是非、ピンチを体のメンテナンスのチャンスに変えてください!

日本消化器病学会 専門医
日本消化器内視鏡学会 専門医
日本消化器内視鏡学会 上部消化管内視鏡スクリーニング認定医
日本消化器内視鏡学会 下部消化管内視鏡スクリーニング認定医
日本炎症性腸疾患学会 連携専門医
日本内科学会 認定内科医
