Last Updated on 2026年6月4日 by おおつか内科・消化器内科・IBDクリニック
トイレに入った際、便に血が混じっているのを見て、頭が真っ白になった経験はありませんか?
「お尻が切れただけかな?」「一時的なものだろう」と、そのまま様子を見てしまう方は少なくありません。
しかし、血便は身体が発している重大なサインである可能性があります。特に、単なる血液だけでなく、ドロッとした粘液が混じる「粘血便(ねんけつべん)」が見られる場合は、速やかな専門医への受診が必要です。
今回は、血便・粘血便が出たときにチェックすべきポイントや、考えられる原因、そして大腸カメラの重要性について分かりやすく解説します。
目次
血便が出たときに、まず確認すべき3つのチェックポイント
血便が出たからといって、過度にパニックになる必要はありません。まずは落ち着いて、受診時にスムーズに状況を伝えるため、以下の3つのポイントを観察してください。
1. 血の色は何色か?
- 鮮やかな赤色(鮮血便): 肛門に近い部分(痔や直腸など)からの出血の可能性が高いです。
- 暗い赤色・粘液混じり(粘血便): 大腸の奥の方で炎症や腫瘍が起きているサインです。便にイチゴジャムやゼリーのようなドロッとした血が混じるのが特徴です。
- 黒い便(タール便): 胃や十二指腸など、上部消化管からの出血が疑われます。
2. 出血は続いているか?
1回きりで収まったのか、それとも排便のたびに何度も繰り返すのかによって、緊急度や疑われる病気が変わります。
3. 他にどんな症状があるか?
腹痛、下痢、発熱、体重減少、貧血(ふらつき)など、血便以外の症状が伴っているかどうかも、原因を特定するための重要な手がかりになります。
血便・粘血便の原因として考えられる主な病気
「血便=痔」と思い込んでしまうのは非常に危険です。血便の背景には、以下のような病気が隠れていることがあります。特に注目すべきなのが、わたしが専門としている炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病・腸管ベーチェット病)です。
◆ 潰瘍性大腸炎(UC)【特に注意したい大腸の病気】
近年、10代〜30代の若い世代を中心に日本国内でも患者数が急増している大腸の炎症性疾患です。大腸の粘膜に慢性的な炎症が起き、体調が良い時期(寛解)と悪い時期(再燃)を繰り返すのが特徴です。
潰瘍性大腸炎の最も代表的なサインが、「粘血便(ねんけつべん)」です。これは、大腸の粘膜が激しく荒れてただれてしまい、剥がれ落ちた粘膜や粘液が血液と一緒に便に混ざることで起こります。便の表面にドロッとしたゼリー状のものや、イチゴジャムのような赤黒い血が混じるのが典型的な例です。
さらに、以下のような症状が伴う場合は、潰瘍性大腸炎の可能性がより高くなります。
- 慢性的な下痢や軟便が2週間以上続いている
- 排便の後もすっきりせず、何度もトイレに駆け込みたくなる(しぶり腹)
- お腹の左側や下腹部がギューッと痛む(腹痛)
- 症状が重くなると、発熱、貧血、急激な体重減少が見られる
最初は「ただの胃腸炎(お腹の風邪)」「ストレスによる過敏性腸症候群」などと勘違いされやすく、受診が遅れてしまうケースが非常に多い病気です。
※以下の病気も血便の原因になりますが、自己判断せずに専門医による鑑別が必要です。
◆ 痔(内痔核・裂肛)
排便時にポタポタと鮮血が出たり、ペーパーに血がつきます。最も頻度が高い原因ですが、痔があるからといって安心していると、奥に隠れた大腸の病気を見落とす原因になります。
◆ 大腸ポリープ・大腸がん
大腸にできた良性のポリープやがんに便が擦れることで出血します。初期の大腸がんは自覚症状がほとんどなく、たまたま出た血便をきっかけに見つかることも多いため、わずかな出血でも無視してはいけません。
◆ 感染性腸炎・虚血性大腸炎
細菌感染や、大腸の血流が一時的に悪くなることで、突然の激しい腹痛や下痢とともに血便が出ます。通常は一過性のものです。
潰瘍性大腸炎は専門家による診断・治療が不可欠です
潰瘍性大腸炎は、国が指定する「指定難病」の一つです。このように聞くと非常に恐ろしい病気のように感じるかもしれませんが、決して治らない病気という意味ではありません。大切なのは、潰瘍性大腸炎の「専門知識と豊富な臨床経験を持つ専門医」のもとで早期に正しい診断を受け、適切な治療を始めることです。
なぜ専門家による診断が重要なのか?
潰瘍性大腸炎の初期症状は、一般的な感染性腸炎や過敏性腸症候群(IBS)と非常に酷似しています。専門的な視点がないと見極めが難しく、適切な治療が遅れてしまうケースが少なくありません。
わたしは、潰瘍性大腸炎をはじめとする炎症性腸疾患(IBD)の専門家として、これまで数多くの診断・治療を行ってまいりました。
潰瘍性大腸炎の薬もここ5-6年で非常に進歩しており、優れたお薬が多数登場していますが、新しいお薬よりも重要なのが基本治療です。どの分野でもそうですが、基本が一番大事ってことですね。専門医の目でお一人おひとりの大腸の粘膜状態を正確に評価し、病気の勢いやライフスタイルに合わせた最適な治療方針(オーダーメイド治療)を立てることで、症状が落ち着いている状態(寛解状態)を長く維持することが可能です。
治療を適切に行えば、健康な人と全く変わらない日常生活、仕事、学業、スポーツ、そして妊娠・出産を諦める必要もありません。
逆に、放置してしまうと炎症が大腸全体に広がり、重症化して激しい腹痛や発熱、貧血を引き起こし、最悪の場合は入院や手術(大腸の摘出)が必要になってしまうこともあります。「お腹が弱いだけ」「いつもの下痢」と見過ごさず、粘血便や慢性的な下痢に気づいたら、まずは早めにご相談ください。
原因を確実に特定する唯一の方法が「大腸内視鏡検査」です

血便や粘血便の原因を突き止め、適切な治療を行うために欠かせないのが大腸カメラです。
便潜血検査(検診などの検便)は「大腸のどこかに血が出ているか」を調べるものですが、大腸カメラは、内視鏡を大腸の奥まで挿入し、粘膜の状態を直接確認します。
これにより、大腸の粘膜がどのように荒れているか、潰瘍性大腸炎に特有の炎症パターンがないかを正確に診断することができます。私たち専門家であれば、多くの潰瘍性大腸炎は内視鏡検査で診断が可能ですが、同時に組織の一部を採取して顕微鏡で調べる(生検)ことで、さらに確実な診断を下すことが可能です。大腸がんの原因となるポリープが見つかった場合は、その場で切除(日帰りポリープ切除)することも可能です。
「大腸カメラは痛い・辛い」というイメージをお持ちの方へ
大腸カメラに対して「痛そう」「お腹が張って苦しそう」という不安をお持ちの方も多いと思います。
当院では、患者さんの身体的・精神的な負担を最小限に抑えるため、以下のような工夫を行っています。
- 鎮静剤の使用: うとうとと眠っているような、リラックスした状態で楽に検査を受けていただけます。以下のブログも参照してください。
内視鏡鎮静の新時代 |おおつか内科・消化器内科・IBDクリニック - 炭酸ガス(CO2)の導入: 検査後のお腹の張りを速やかに解消するため、体内に吸収されやすい炭酸ガスを使用しています。
- 内視鏡専門医による高度な技術: 腸を突っ張らせずにスムーズに挿入する技術(軸保持短縮法など)により、痛みの少ない検査を実践しています。
「検査が怖くて受診をためらっている」という方も、どうぞ安心して当院にご相談ください。
このような症状があれば、すぐに炎症性腸疾患専門の当院へ
以下にひとつでも当てはまるものがあれば、大腸からの危険信号かもしれません。
- 便にドロッとした血や粘液が混じる(粘血便がある)
- 下痢や軟便、お腹の張りが2週間以上続いている
- 市販の痔の薬を使っても、お尻からの出血が止まらない
- 健康診断の「便潜血検査」で陽性(要精密検査)になった
血便は、身体があなたに「早く見つけて」とサインを送っている状態です。「大したことない」と自己判断で片付けず、まずは一度、専門医のいる当院へお気軽にご相談ください。丁寧な診察と、苦痛の少ない検査で、あなたの健康をお守りいたします。
当院では、24時間いつでもスマホから診察・内視鏡検査の事前相談の予約が可能です。
「まずは大腸カメラの必要性だけ聞きたい」という方も、どうぞお気軽にご来院ください。
参考記事
おおつか内科・消化器内科・IBDクリニックでの大腸カメラの特徴

日本消化器病学会 専門医
日本消化器内視鏡学会 専門医
日本消化器内視鏡学会 上部消化管内視鏡スクリーニング認定医
日本消化器内視鏡学会 下部消化管内視鏡スクリーニング認定医
日本炎症性腸疾患学会
日本内科学会 認定内科医
