今回は、2025年から当院でも導入している新たな鎮静剤アネレムについて解説していきます。
目次
鎮静剤は必要だけどもったいない~タイムパフォーマンスの観点
胃カメラのしんどさは私たちの内視鏡医の技術的な部分は1割で、それぞれの方の喉の敏感さが一番重要な要素であるとも言われています
つまり、オエっとなるかどうかは個人次第の部分が大きいです
もちろん、私たちも何もしないわけではなく、当院ではまず5.4mmの細い胃カメラを使用しています
さらに、細いだけで画質が悪いと検査に時間を要するだけでなく、検査の質が落ちてしまいますので、オリンパスのEVIS X1という最新のシステムで高画質な画像で観察することで速さと質の維持を心がけてきました
ちなみに、EVIS X1は大学病院でも使用される上位機器です
もちろん、それでも検査がしんどい方、受けることが不安な方は多くいますので、希望の方には鎮静剤も使用してきました
しかし、保険適応のある鎮静剤が少ないにもかかわらず、息が浅くなったり、血圧が下がるといった合併も起きるため、使用には非常に注意が必要でした
さらに、鎮静剤の使用後は眠気が長時間残り、一日無駄にしなければなりませんでした
5分の検査のために数十分から数時間の眠気…なんて非効率的な…
わたしはここが一番もったいないと思う点で、以前のブログでも解説させてもらいました
「鎮静剤、ほんとに必要?」—使う前に知っておきたい“もったいない”という視点
確かに人によってはしんどい検査だけど、しんどくない人もいて、全ての人に呼吸抑制や循環抑制のリスクを背負ってもらうのもバランスが良くないなと常に思っていました
理想的な鎮静剤の条件とは?
では、理想的な鎮静剤とはどのような薬剤でしょうか?
以下のような報告があります
Williams, M. R., et al. (2016). “Efficacy Outcome Measures for Procedural Sedation Clinical Trials in Adults: An ACTTION Systematic Review.” Anesth Analg 122(1): 152-170
理想的な鎮静剤の条件
- 早期覚醒
- 安定した鎮静効果
- 少ない副作用
この3点が非常に重要です
私たち医師は空気の読めない人種なので、患者さんの希望と食い違うことは多々ありますが、内視鏡診療の鎮静についても以下のように記載されています
医師の希望
- 一貫した鎮静
- 内視鏡医が管理可能
- 患者の体動がなく、内視鏡診療に理想的な状況
患者の要望
- 不安感がない
- 不快な記憶がない
- 迅速に日常活動へ戻れる
- 副作用がない
私にとっては患者の要望3が非常に重要な要素だったわけです
このような解離がありながらも、知りながらも私たち内視鏡医は鎮静剤を使用し続けてきました
理想的な鎮静剤『アネレム』の実力とは~ゴールデンルーキー!
2025年ついにアネレムという鎮静剤が消化器内視鏡検査に保険適応となりました
医師と患者の両方のニーズを満たせる期待の新人です!
アネレムは臨床試験において以下の成績が報告されました
胃カメラ
- 鎮静の成功率 91.9%
- 内視鏡検査終了から歩行できるまでの時間 5分
大腸カメラ
- 鎮静の成功率 95.0%
- 内視鏡検査終了から歩行できるまでの時間 5分
鎮静の成功率に関しては少し工夫や使い慣れもありますが、これまでの鎮静剤との一番の違いは投与終了後の覚醒具合です
これまで当院では鎮静剤を使用した場合、検査終了後もしばらくは記憶が曖昧になるため、後日結果説明をしていました
患者さんとしっかりとコミュニケーションを取るにはやはり検査当日は難しいという問題がこれまではありました
しかし、アネレムに切り替えた現在は、検査を終えて10分後にはぱっちり覚醒した状態で結果説明を聞いてもらいます
あまりにぱっちり目が覚めてしまうので、中には眠っていたことすら気づかない方もいます
授業中に一瞬眠ってしまったと思って黒板を見ると、まったく知らない内容に変わっていたってこと、みなさんありませんでしたか?
自分では一瞬のつもりなんですけどね…
残念ながら車やバイクなど乗り物の運転は許可できませんが、これまでと比較すると検査終了後の一日をより有効に活用してもらえるようになったのではないかなと思います
内視鏡界隈の革命児『アネレム』をお試しあれ!
これまで私は鎮静をあまりお勧めしない理由として、検査終了後の時間をぼーっと無駄に過ごしてしまう可能性が高く、時間がもったいないことを一番の理由に挙げていました
検査は眠ってしたい、けど時間も有効に活用したい
そんな方のニーズにもお応えできる、内視鏡界隈の革命児です!!
特に胃カメラとの相性が良いのではないかと感じていますので、まずは胃カメラへの一歩が踏み出せずに悩んでいる方は是非ご検討をお願いします
もちろん、大腸カメラでも使用していますので、こちらもご相談ください

日本消化器病学会 専門医
日本消化器内視鏡学会 専門医
日本消化器内視鏡学会 上部消化管内視鏡スクリーニング認定医
日本消化器内視鏡学会 下部消化管内視鏡スクリーニング認定医
日本炎症性腸疾患学会
日本内科学会 認定内科医
