「食欲がない」は夏のせい?胃腸がSOSを出す季節の落とし穴

Last Updated on 2026年7月12日 by おおつか内科・消化器内科・IBDクリニック

暑さが続くと、「なんとなく体がだるい」「食欲が湧かない」「胃が重い」といった、いわゆる「夏バテ」の症状に悩まされる方が増えてきます。

しかし、その不調、本当にただの夏バテでしょうか? 実は、冷たいものの摂りすぎや自律神経の乱れによって胃腸の働きが低下しているだけでなく、裏に治療が必要な胃の病気が隠れているケースが少なくありません。

今回は、夏に起こる胃腸不調のメカニズムと、見逃してはいけない病気のサインについて解説します。

冷たい飲み物が胃を止める?夏に起こる“消化力低下”のしくみ

夏バテによる胃の不快感は、体の中で起きている「3つの変化」が原因です。

  • 自律神経の乱れ: 冷房の効いた室内と猛暑の屋外を行き来することで自律神経がパニックを起こします。胃腸を動かす「副交感神経」がうまく働かなくなり、胃の中に食べ物が停滞してしまいます。
  • 冷たい飲食物の過剰摂取: 冷たいビールやアイス、ジュースなどを頻繁に摂ると、胃の粘膜の血流がガクッと低下します。その結果、消化酵素がうまく分泌されず、いわゆる消化不良になります。
  • 食生活の乱れ: 「そうめんだけで済ませる」といった偏食や、空腹時にコーヒー・炭酸飲料を飲む習慣は、胃酸の分泌バランスを崩す原因になります。

胸焼けは夏バテの延長線?「逆流性食道炎」との意外なつながり

「胃がムカムカする」「酸っぱいものが上がってくる」「喉がヒリヒリする」 そんな症状がある場合、逆流性食道炎が悪化している可能性があります。

夏は、以下の理由から特に逆流が起きやすい季節です。

  1. 冷たいもので胃の動きが鈍り、食べたものが胃の中に長く残り続ける
  2. 自律神経の乱れで、胃と食道のつなぎ目の「締め付け(括約筋)」がゆるむ
  3. 食欲がないからと「食べてすぐ横になる」習慣が、胃酸の逆流を加速させる

「夏バテで胸が苦しい」と思っている症状、実はドロドロの胃酸が食道を傷つけているサインかもしれません。

「検査は異常なし」でもつらい…夏に悪化する「機能性ディスペプシア」

「胃がもたれて全然食べられない」「少し食べただけでお腹がいっぱいになる」 それなのに、病院の検査では「どこも異常ありません」と言われる――。

このような状態を機能性ディスペプシア(FD)と呼びます。

胃の「形」には異常がないものの、夏のストレスや寝不足、疲労の蓄積によって、胃の「動き(膨らむ・縮む機能)」や「神経の知覚過敏」が起きている状態です。気のせいではなく、れっきとした治療が必要な病気です。

その不調、放置しないで!医師に相談すべき「5つのサイン」

「夏が終われば治るだろう」と我慢するのは禁物です。特に以下のような症状が数日以上続く場合は、早めに消化器内科を受診してください。

  • 食後に強い胸焼けや、酸っぱいものが込み上げる感覚がある
  • 少し食べただけで満腹になり、それ以上お箸が進まない
  • みぞおちのあたりがキリキリ、どんより痛む
  • 吐き気や気分の悪さを繰り返す
  • ここ最近で、明らかに体重が減ってきた

これらは逆流性食道炎や機能性ディスペプシアだけでなく、胃潰瘍や胃がんなどの重大な病気のサインである可能性もあります。

当院での対応について

「本当にただの夏バテか、それとも胃の病気か」を見極める第一歩は、胃カメラ検査(内視鏡検査)で胃の粘膜を直接確認することです。

当院では、患者さんの不安や苦痛をできるだけ軽減できるよう、鎮静剤を使用した「眠っている間に終わる胃カメラ」にも対応しています。

「検査が怖くて受診をためらっていた」という方も、どうぞ安心してご相談ください。

「夏だから仕方ない」と放置せず、気になる症状があればいつでもお気軽に当院へご相談ください。