5月8日 新型コロナウイルスの何が変わる?
目次
現在の致死率は第1波の22分の1
WHOが2020年1月30日に新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言をしてから約3年3カ月、ついに緊急事態宣言の終了が発表されました。
新型コロナウイルスの致死率の推移Coronavirus Pandemic (COVID-19) – Our World in Data
当初は致死率5 %を超えていましたが、マスク、ワクチンとウイルスの弱化により、2023年5月現在で0.22 %まで低下しました。
この3年間、みなさんも頑張りましたし、自分で自分を褒めてあげたいですよね。
その結果、2023年5月8日から5類感染症に移行することになりました。
クリニックでの発熱外来は続けます
では、5類になって何が変わるのでしょうか。
5類感染症ということは季節性インフルエンザと同じグループになるということです。
隔離や自粛といった行政からの強制的な行動制限はなくなり、みなさんそれぞれの判断ということになります。
先ほど致死率が減ったという良いことを言った直後で恐縮ですが、感染者数は第1波から数を追う毎に増加傾向となっています。
さらに、感染者数×致死率=死亡者数 ですので、いくら死亡率が低下しても感染者数の増加に伴い、死亡者数は増加し、第8波で死亡者数は過去最高となりました。
第8波で死亡者数が増加した理由の1つに高齢者の感染増加が挙げられます。
感染者のうち80歳以上の占める割合が、第8波では第7波の約1.3倍に増加しました。
クリニックには高齢者だけでなく、免疫を抑えるお薬を飲んでいる方もいらっしゃいます。
そのため、マスクの着用もこれまで通りお願いしていますし、発熱やかぜ症状のある方は発熱外来として対応させて頂く予定ですので、ご了承ください。
さて、ここからはみなさんが受診前に疑問に思っていることを少しお話させて頂きます。
医療費は季節性インフルエンザと同じくらい
まずクリニックの窓口でいくら支払うことになるのか、大事ですよね。
高くなるから検査するのは止めとこう、受診することはやめとこうって思う方もいるかもしれません。
これまで公費で多くの部分が公費で支えられていましたが、5類になると自己負担が少し増加します。
例えば、3割負担の方で解熱剤とコロナの治療薬を処方した場合、コロナの治療薬以外をみなさんに負担して頂きますので、最大4170円となります。
インフルエンザの方で同様に検査をして、解熱剤とインフルエンザの治療薬を処方した場合、最大4450円となりますので、ほぼ同じかインフルエンザより少し安いということになります。
コロナの治療薬はまだまだとても高額な薬になりますので、公費がないと32000円程度かかってしまいます。
そのため、とりあえず9月末までは公費で負担してもらえますので、ご安心ください。
ですので、これからはインフルエンザと同じくらいの窓口負担とご理解頂ければ、これまでのインフルエンザ同様に多くの方に安心して受診して頂けるのではないでしょうか。
周りの方へのやさしさ期間は5日間
次に自粛期間ですが、法律に基づく外出自粛はなくなり、外出を控えるかどうかは、みなさん個々の判断に委ねられることになりました。
もちろん、みなさんの判断ですので、マスク同様に自由と言えば自由です。
自由ではあるんですが、これからは“周りの方へのやさしさ期間“が必要です。
現在、新型コロナウイルスの周りの方への影響として分かっていることとしては以下の3点です。
- 発症2日前から発症後7~10日間は感染性のウイルスを排出している
- 発症後3日間は、感染性ウイルスの排出量が非常に多いが、5日間経過後は大きく減少するので、5日間までは他人に感染させるリスクが高い
- 排出されるウイルス量は発熱やせきなどの症状が軽快するとともに減少するが、症状軽快後も一定期間ウイルスを排出する
オミクロン系統感染者の感染性ウイルスの定量(RT-qPCR)
これらを踏まえて、外出を控えることが推奨される期間としては以下が推奨されています。
- 発症日を0日目として5日間は外出を控えること
- 症状が軽快して24時間程度が経過するまでは、外出を控え様子を見ること
季節性インフルエンザと似ていますね。
マスクに関しては10日間が経過するまでは着用が推奨されています。
もちろん、10日を過ぎても咳やくしゃみ等の症状が続いている場合には、マスクの着用を継続した方が周りの方にはやさしいと思います。
『君は大丈夫かもしれない。でも君にとって大切な人、誰かにとって大切な人は大丈夫じゃないかもしれない』
これはWBCで抜群のリーダーシップを発揮したダルビッシュ有投手の言葉です。
これからは検査をするかどうか、マスクをするかどうか、全てをみなさんが判断することになります。
決して発熱するたびに検査する必要やマスクを常に着用する必要はないとは思いますが、常に心の片隅にこの言葉を置いて頂ければ幸いです。
日本消化器病学会 専門医
日本消化器内視鏡学会 専門医
日本消化器内視鏡学会 上部消化管内視鏡スクリーニング認定医
日本消化器内視鏡学会 下部消化管内視鏡スクリーニング認定医
日本炎症性腸疾患学会
日本内科学会 認定内科医