帯状疱疹ワクチンの比較 -ワクチンはどっちでもよくない-

2025年4月から、2種類の帯状疱疹ワクチンが予防接種法に基づく定期接種の対象となりました

今回は、この2種類の違いについて説明していきます

2種類の比較表

帯状疱疹になると何が困る?

帯状疱疹は、水痘(水ぼうそう)を引き起こす水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)が原因で発症する病気です

水痘が治癒した後もウイルスは神経に潜伏し、免疫力の低下や加齢などの要因で再活性化すると、神経に沿って帯状に水疱が現れます

症状としては、皮膚の赤みや腫れ、水疱の出現に加え、発熱や頭痛、リンパ節の腫れなどが伴うことがあります

合併症の一つである「帯状疱疹後神経痛」は、皮膚症状が治った後も長期間にわたって痛みが続くことがあり、強い痛みが夜も眠れないほどになることがあります

これがとても辛いので、帯状疱疹後神経痛を回避するために予防、治療をすると言っても過言ではありません

帯状疱疹が顔面神経に影響を及ぼすと、ラムゼイハント症候群と呼ばれる顔面神経麻痺を引き起こすことがあり、こちらも非常につらい症状の一つです

帯状疱疹を発症した患者の5人に1人は帯状疱疹後疼痛を発症したとの報告もあります

帯状疱疹後神経痛(PHN)

50歳以上は常に要注意

帯状疱疹の発症率は50歳頃から上昇し、一見70歳以降は低下するようにみえますが、40歳頃と比較すると高い発症率が持続することが分かります

年齢別発症率


80歳までに3人に1人が帯状疱疹を経験すると推定されています

一度なったから、もう90歳だらか、なんてことも言ってられないわけです

使用されるワクチンと接種方法

帯状疱疹ワクチンには、生ワクチンと組換えワクチンの2種類があります

  • 生ワクチン:皮下に1回接種する方法
  • 組換えワクチン:筋肉内に2回接種(2か月以上の間隔をあける)
    免疫機能が低下した場合、接種間隔を1か月まで短縮できる

ワクチンの効果

両ワクチンとも帯状疱疹および合併症に対する予防効果が認められています

生ワクチンに10年まで検討されたデータはありませんが、組み換えワクチンでは10年経過しても、生ワクチンの1年目よりも高い予防効果を期待出来ます

副反応

ワクチン接種後には以下のような副反応がみられることがあります

  • 生ワクチン:まれにアナフィラキシーや無菌性髄膜炎などの副反応が報告されている
  • 組換えワクチン:まれにアナフィラキシーやショックなどの副反応が発生することがある

接種できない人・注意が必要な人

以下の条件に該当する場合、ワクチンの接種を受けることができません

  • 過去にワクチンの成分によってアレルギー反応を起こしたことがある場合
  • 発熱している場合
  • 重篤な疾患に罹患している場合

また、心疾患や血液疾患を有する場合は、医師と相談の上で接種の可否を決定する必要があります

費用

接種費用に関しては自治体によっても異なりますが、神戸市では合計費用として、生ワクチン4,000円、組み換えワクチン20,000円と大きく異なります

しかし、先ほどお示しした予防接種の効果を合わせて考えてもらえれば、その差にも納得頂けるのではないでしょうか

組み換えワクチンの20,000円も10年の効果を期待できるとするのであれば、年額2,000円ですので、そこまで高くないと感じることも出来ます

ちなみに、インフルエンザ予防接種が当院では3,000円で行っていますので、それよりも安いです

もちろん、10年分割払いはありませんので、あしからず

まとめ

帯状疱疹は、強い痛みを伴う疾患で、特に高齢者に多く見られます

発症しても早期に発見できればよいのですが、本当に少し遅れるだけで痛みの残り方に差が出てしまいます

ワクチンを接種することで、発症リスクを軽減できるため、対象となる年齢になった場合は医師と相談の上、接種を検討することが推奨されます

費用、効果、副反応など検討するべき項目は多いですが、ご検討ください