神戸市大腸がん検診の取り組み

大腸がんは日本国内で増加傾向にあり、早期発見が治療成功の鍵となります
神戸市では、住民の健康を守るために定期的な検診を推奨しています
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神戸市での大腸がん検診
神戸市では大腸がん検診として便潜血検査を行っています
この検査は、便中の微量な血液を検出することで、大腸がんやポリープの可能性を早期に発見することを目的としています
40歳以上の市民を対象に実施されており、費用は500円と比較的低額で、無料で受けられる方もいます
これにより、経済的負担を軽減し、多くの人が検診を受けやすい環境を整えています
さらに、陽性となった方に対しては、大腸カメラによる精密検査の案内を行っています
便潜血検査を中心にした大腸がん検診システム

便潜血検査は1回やって終わりというものではありません
検診で便潜血検査を受ける→検査する→異常がなくても翌年に再度便潜血検査を受ける
というこの流れをぐるぐる繰り返すということが重要なプログラムで、単回の検査で全てをやろうとはしていません
便潜血検査で陰性を確認した後、1年以内に癌がみつかる癌もあります
どれくらいいるかというと、内視鏡で取り切れるものも含めると4.5 %、手術が必要なものだけでも3.9 %です
Proportions and characteristics of interval cancer in annual fecal immunochemical test screening and postcolonoscopy colorectal cancer: Results from a Japanese multicenter prospective study using questionnaires, the C-DETECT study
便潜血検査で一回陰性を確認したら安心、というものではないことがお分かり頂けたでしょうか
奥の大腸がんの検出は弱い
さらに、大腸がん死亡率抑制効果を大腸の右側(奥)と左側(肛門に近い方)で比較しています
Chiu HM, et al. Gut. 2021;70(12):2321-9.
- 右側大腸 0.79(95%CI 0.72〜0.87) 21 %減少
- 左側大腸 0.61(95%CI 0.57〜0.64) 39 %減少
約10 %程度ですが、便潜血による大腸がんスクリーニング効果は右側、つまり大腸の奥の方では少し弱くなることが分かります
便潜血検査による大腸がんスクリーニングの問題点
- 一度の便潜血検査では限界がある:あくまで複数回繰り返し続けることで成り立つシステム
- 中間期がんが無視できない:4~5%の中間期がんの存在
- 右側大腸がんの検出率が低い:10%程度大腸がん抑制効果が低い可能性
アメリカにおける大腸がん検診の方法

Colorectal Cancer Facts & Figures | Facts About Colon Cancer | American Cancer Society
アメリカにおける大腸がん検診の方法を示したものになりますが、どの年齢を見ても大腸カメラによる大腸がん検診が多いことが分かります
もちろん、医療保険の精度が違いますが、大腸カメラという検査が本人の努力なしでは受けられない検査であることを考慮すると、それほど意識が高いとも言えるのではないでしょうか

その結果として、大腸がんの死亡率の低下傾向も日本はアメリカやイギリスと比較するとやや遅れをとっていると言わざるを得ません
便潜血検査は便の提出をするだけですので、体への負担はなく、当然ですが合併症はありません
しかし、これだけしとけば大腸がんは大丈夫、といった検査でもないことがお分かり頂けたでしょうか
大腸がんで死ぬなんて今どきもったいない
もちろん、大腸カメラを受けていれば必ず大丈夫という訳ではありませんが、
- 見落としの少ない観察
- 発見病変に対する適切な診断と治療
- 適切なサーベイランス間隔の設定
これにより大腸がんの死亡を今より減らせることは出来ると考えられていますので、便潜血で陽性となった方はもちろん、便潜血だけでしか大腸がんのスクリーニングをされていない方は、一度は大腸カメラをご検討ください

日本消化器病学会 専門医
日本消化器内視鏡学会 専門医
日本消化器内視鏡学会 上部消化管内視鏡スクリーニング認定医
日本消化器内視鏡学会 下部消化管内視鏡スクリーニング認定医
日本炎症性腸疾患学会
日本内科学会 認定内科医