お正月の餅には要注意!!

みなさんお正月はいかがお過ごしでしょうか

お正月にはお餅をたくさん食べる方も多いのではないでしょうか

しかし、このお餅が実は意外に要注意だとご存じでしたか?

今回は、餅の楽しさではなく、恐ろしさを解説してみます

食餌性腸閉塞の特徴

腸閉塞とは、腸の中の食べ物や液体の流れが途中で詰まってしまう状態を指します

食餌性腸閉塞は全腸閉塞のうち0.3~4.0%前後と比較的稀な病態であり、原因となる食物は様々です

以前は柿が最も多かったのですが、近年は餅も珍しくない状況となっており、私たち消化器内科医にとっては正月の風物詩の一つでもあります

餅による腸閉塞の診断

餅の場合、CT検査で特徴的な所見を呈し、その有用性が報告されています

餅のCT画像は、high density materialなどと表現されますが、要は真っ白で硬そうな物質として捉えられます

ちなみにCTで真っ白なもので分かり易い臓器は骨です

食事性腸閉塞の原因になる物質のCT値を比較すると、餅が最も高いCT値でかつ均一であり、他の食べ物と容易に鑑別できたと報告されています

多くの食べ物は体内で空気と混ざりますが、餅の場合は体内でも比較的均一な高濃度物質として描出され、鑑別は容易です

餅は消化に悪い???

餅の主成分はでんぷんであり、一般には消化に良いと認識されがちですが、実際には餅は消化されにくいことが指摘されています

もち米のでんぷんはアミロペクチンでほぼ100%で、アミロペクチンは熱水にも溶解せず、さらに餅つきによって難消化性でんぷんを含むようになると指摘されています

また、餅は加熱されると軟らかくなりますが、温度が低下すると硬く粘着性が増す特性があります

餅が硬くなって食器にひっついて、洗うに苦労した経験は皆さんあるのではないでしょうか

ですので、お餅を食べた食器は早めに洗うことがオススメです

食べ方にも注意が必要で、熱々のつきたては別として、生の餅を十分加熱しないまま食べることはおすすめしません

食餌性腸閉塞の危険因子

丸呑みや早食いといった食べ方、噛みにくいたべもの、水分で膨張する食べ物などが危ないと言われています

餅の場合、当たり前ですが噛みにくい食べ物であることが強く関与していると考えられています

しっかり噛んでも細切れに出来る食べ物ではないので、リスクを下げるには食べるサイズの調整が必要かもしれません

餅による腸閉塞の症状

基本的には腹痛を伴いますが、特に摂取後1日程度で急激に発症する腹痛が特徴的です

食餌性腸閉塞のなかでも、餅の場合は腹膜刺激徴候や腹水といった危険なサインが現れやすいです

餅は急に詰まって完全な腸管閉塞を来すことが原因ではないかと言われています

腸閉塞の治療

食事以外の腸閉塞と比較して、食餌性腸閉塞は開腹手術が必要となることも珍しくありませんでしたが、最近は内科治療で改善することの方が多い印象です

とはいえ、腸管自体が破れたり、血流が悪くなる場合もあるので、慎重に経過観察する必要があります

楽しいお正月にも要注意

餅を食べるときには注意が必要であることがわかって頂けたでしょうか

海外の方にしてみれば、喉に詰まらせたり、腸に詰まらせたり、実は恐ろしい食べ物なのかもしれません

腸閉塞には至らなくても、お通じの調子が悪くなることも少なくなりません

ですので、お餅を食べるお正月は、いつもより少し多めに水分摂取してみたり、普段から便秘の方は早めにお薬で調整したりすることをオススメします

もちろん、お正月にお餅を食べ過ぎてお腹の調子が悪くなった方は、お気軽にご相談ください

お餅を食べた食器は早めに洗うこと

お正月でも食器を洗ってくれる人のことを考えましょう

これが一番大事です!!