ニューイヤー発熱外来 in Motoyama

あけましておめでとうございます。

当院は元日ニューイヤー発熱外来で2023年をスタートしました。

年末から発熱外来の患者さんは明らかに増加しており、新型コロナウイルス感染症の流行を実感しております。

まず、率直な感想としては、新型コロナウイルス感染症とコロナウイルス以外による風邪とインフルエンザウイルス感染症との症状の違いがほとんどなくなってきている印象です。

わたしの診療エリアではそこまでインフルエンザウイルスがまだ流行していませんが、流行期に入ると検査してみるしかないと思っています。

では、現在大流行中のオミクロン株ではどんな症状がどれくらいの頻度で出るのでしょうか、岸田直樹先生の『札幌市市中における オミクロンBA.5の現状と備え Ver.2』000975398.pdf (mhlw.go.jp)から見ていきたいと思います。

まずはどんな症状が多くなっているのかみていきます。

新型コロナウイルスでよく見られる症状

症状だけみると風邪やインフルエンザとの違いはまったくありません。

年代別の診断時における症状発現率

咳、のどの痛み、鼻水・鼻つまりなどが多くなっており、以前に言われていたような味覚・嗅覚異常がそこまで診断のヒントにはなりません。

風邪症状といえば、『はな・のど・せき』ですが、4~5人に1人の割合で3症状がそろっていますので、いかに風邪とコロナを症状から区別することが難しいかわかると思います。

のどの痛みと咳を訴える方は非常に多く、水や唾が飲み込みにくいという方もいらっしゃいました。

オミクロンではのどの痛みがきついらしい…とのんびりしていると、重症の扁桃炎を合併したため空気の通り道が狭くなって救急搬送となった方もいらっしゃいましたので、あまりにのどがつらい場合は要注意です。

消化器クリニックであるわたしの個人的な実感としては、胃腸炎症状の方も多くなっているような気もしていますが、胃腸炎も流行していますので、合併している可能性もあるのかもしれません。

発熱の頻度にも違いがあり、38.5℃以上の高熱は10~20代を中心として若い方に多く、60歳以上の高齢者の方では高熱の頻度は低くなっています。

小児の重症化リスクは低いのかもしれませんが、高熱が出ると親の心配は大きくなりますので、困ったもんです。

からだのだるさや関節の痛み、筋肉痛、頭痛といった全身症状が出やすいのも今回の特徴です。

ただ、これって以前はインフルエンザのときに特徴的だった症状なので、インフルエンザとの区別も難しそうです。

新型コロナウイルスワクチン接種回数による症状頻度

また、全身症状に関しては、ワクチン接種回数が多い方が出にくくなる傾向がありますので、今後もワクチン接種が重要となります。

これまでは重症化の予防ということがワクチン接種の第1目標でしたが、これからはつらい全身症状の予防ということを目標に、若い方々にも予防接種を検討してもらう必要があるのかもしれませんね。

ここまで若い方につらいお話が多かったですが、高齢の方にもつらいお話があります。

それは、重症化するまでのスピードが以前より速いということです。

新型コロナウイルスの症状悪化までの日数分布

発症から症状が悪化するまでの日数は、3日以内が6割を占めており、重症化するリスクを有する方では、出来るだけ早期の診断によりわたしたち医療従事者の目の届く範囲にいてもらうことが重要になってきます。

歩いて受診できる方は当院のようなクリニックの発熱外来を受診してください。

発熱外来をすぐに受診出来ない場合は、市販のかぜぐすりなどで症状を和らげながら、様子をみていくのも一つの手段かと思います。

“飲めない” “歩けない” “息苦しい” は救急車や病院の受診を検討しましょう。

重症化リスクが低くなっているオミクロン株ですが、感染する方が多くなれば、当然重症化する患者数も増加します。

今の流行期を乗り切るには、やはり基本的な感染対策が重要になりそうです。

1.手洗い

2.屋内でのマスク着用

当院でも微力ながら地域のみなさまのお役に立てればと思い、これからも発熱外来を継続していきますので、今後ともよろしくお願い致します。

また、発熱だけに気をとられて他の大病の診断が遅れているのも新型コロナウイルス感染症の問題点の一つです。

胃カメラや大腸カメラも1月5日から行っていますので、是非お待ちしております。