胃がん検診は胃カメラがオススメ
みなさん胃カメラは受けていますか?
今回、胃カメラを受けることの必要性・重要性についてお話しさせて頂きます。
1人でも多くの方が胃カメラに最初の一歩を踏み出してもらえれば幸いです。
胃がんは死亡率 第2位
胃がんの発症率や死亡率は低下傾向にはありますが、がんの死亡率ランキングを見ても依然として肺がん、大腸がんに次ぐ第3位をキープしています。
([国立がん研究センター がん統計] (ganjoho.jp))
男女別でみると、男性の2位、女性の4位に位置しており、まだまだ多いと言えます。
ですので、若い方も高齢の方も胃がんを予防すること、早期に発見することが重要、胃がん検診を受けることが重要だということです。
胃がん検診は対策型胃がん検診の方法として、従来のバリウム検査と胃カメラ検査があります。
神戸市では、50歳以上の偶数歳の誕生日を迎える方を対象に胃がん検診を行っています。
わたしは内視鏡医ですので、当然胃カメラをお勧めする立場になってしまう訳ですが、それなりの理由もあります。
ピロリ菌を退治して胃がんを撲滅
まず、胃カメラかバリウムかの選択を考える際には、その前段階の一次予防を考える必要があります。
胃がんの一次予防というとヘリコバクター・ピロリ菌の除菌です。
ピロリ菌はビン・ウォーレン先生とバリー・マーシャル先生によって発見された細菌で、胃炎や胃がんと密接に関係しています。
さらに、胃がんとの関係を最初にしっかりと示したのは日本人の先生です。
植村直己先生らは、ピロリ菌陽性患者1246人からは36人(2.9%)の胃がん患者が発生しましたが、陰性患者からは1人も胃がん患者が発生しませんでした。
Helicobacter pylori Infection and the Development of Gastric Cancer | NEJM(N Engl J Med 2001; 345:784-789)
今は新しい知見も増え、ピロリ菌未感染患者ではまったく胃がんにならないとまでは言えませんが、リスクが非常に低いということは間違いありません。
ヘリコバクター・ピロリ菌と胃がんの関係は非常に密接であり、除菌を行うことで除菌した以降の胃がんリスクは横ばいになるかもしくは低下するため、除菌療法は非常に重要な一次予防です。
ピロリ菌感染陽性者を対象に複数の論文をまとめた解析結果です。全体として、除菌治療を受けた患者3388人中37人(1.56%)が胃がんを発症したのに対し、未治療の場合3307人中56人(7.6%)が胃がんを発症しました。
胃がんの相対リスクは0.65(0.43-0.98)となり、胃がんのリスクを約35%減らすという結果でした。
Meta-analysis: can Helicobacter pylori eradication treatment reduce the risk for gastric cancer? (Ann Intern Med. 2009 Oct 6;151(7):516)
このように胃がんと密接な関係にあるピロリ菌の有無を確認するために大きな役割を果たすのが胃カメラです。
バリウム検査だけでは不十分かも!?
従来の対策型胃がん検診は40歳以上でバリウム検査を毎年行うというものでした。
胃がんのスクリーニングという意味ではこれで一定の効果はありました。
しかし、一次予防のピロリ菌感染の有無やそれに伴って生じる慢性胃炎やその程度を判断することは困難です。
一方、胃カメラであれば十分にトレーニングを積んだ内視鏡医であれば、ピロリ菌が今いるのか、昔いたのか、一度もいたことがないのかを判断できます。
もちろん、わたしもピロリ菌を目で見てしっかりと判断することが出来ます。
無駄な治療をしないためにも検査でピロリ菌が陽性であるというだけでなく、昔いたのかどうかを判定できる能力も大事になってきます。
胃カメラとバリウム検査の胃がん死亡率を比較した報告があります。
Mortality reduction from gastric cancer by endoscopic and radiographic screening
この研究は、内視鏡スクリーニングがバリウム検査によるスクリーニングと比較して胃がん死亡率を67%減少させると示しています。
もちろん、この結果にもいくつかの制限がありますが、胃がんのスクリーニングに胃カメラが有用であるということはご理解頂けるのではないでしょうか。
現在、対策型胃がん検診としての胃カメラは費用対効果のシミュレーションの結果、50歳以上を対象に 2 年に1 回とされています。
費用対効果のではなく、効果を優先して毎年にしてほしいな、というのが消化器内科医であるわたしの願望ではありますが、仕方ないのでしょうかね。
今回、胃がん検診で胃カメラを受けることの必要性・重要性についてお話しさせて頂きました。
ちなみに当院では大きな病院でも使用しているオリンパスの内視鏡システムEVIS X1を導入し、経鼻・経口とも対応しています。
当院で検査ご希望の方は下記から受診予約もしくは胃カメラ検査予約をお願いします。
胃カメラのWeb予約受付中 (doctorqube.com)
日本消化器病学会 専門医
日本消化器内視鏡学会 専門医
日本消化器内視鏡学会 上部消化管内視鏡スクリーニング認定医
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