Last Updated on 2026年4月26日 by おおつか内科・消化器内科・IBDクリニック
胃がんは日本人にとって大きな健康問題です.毎年多くの人が胃がんに罹患し、亡くなっています
胃がんの原因の一つとして、H.pyloriという細菌の感染が挙げられます
この細菌は胃の粘膜に潰瘍や炎症を引き起こし、長期的には胃がんのリスクを高めます
H.pyloriの感染は除菌治療で予防や治療が可能ですが、そのためには正確な感染検査が必要です.ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)の診断法は多岐にわたります
当院では東灘区内ではいち早くスマートジーン® H. pylori Gを導入し、内視鏡検査と同時に行うPCR法による診断を院内で行っており、追加の侵襲は不要で正確な診断が可能となっています
以下に、各診断法の特徴とその有用性について詳しく説明します
目次
胃液を用いたPCR法の利点

まず、当院で実施しているPCR法から解説していきますが、上の画像が当院のスマートジーン本体の画像です
胃液を用いたPCR法の利点として、通常は内視鏡施行時に観察の妨げとなる胃液を含んだ胃内容液は吸引破棄されており、生検組織とは違い非観血的に検体採取が行われ、内視鏡検査に支障をきたさない点があります
これまでは胃カメラの最中に胃粘膜組織を採取したり、検査後に血液検査をする方法が多く用いられてきましたが、この方法では通常の胃カメラ以上の追加の侵襲は必要がありません
また、侵襲的診断法の中では唯一の直接法である点も挙げられます
胃廃液を用いたPCR検査の成績
胃内視鏡検査を受ける患者143人を対象として、H. pylori診断についてはUBT、便中抗原検査、培養、内視鏡廃液(胃液)のRT-PCR法と本キットの成績とを比較し、CAM耐性については培養の薬剤感受性試験と比較検討しました。
各検査法との感度、特異度、一致率は以下の通りです:
- 尿素呼気試験:感度92.8%、特異度94.4%、一致率93.6%
- 便中抗原検査:感度98.4%、特異度88.9%、一致率93.2%
- 培養法:感度100%、特異度95.9%、一致率97.9%
- PCR:感度95.8%、特異度98.6%、一致率97.2%
特に培養法とPCRに対して高い一致率を示しました。
PCRのみ陽性を示した3例は、低濃度のコピー数の症例でした。
スマートジーン® H. pylori Gの臨床性能
今回保険適用となったH. pylori遺伝子検出試薬のスマートジーン® H. pylori Gは、内視鏡検査時に侵襲なしに得られる胃液を検査検体とし、50分で検出できます
その臨床性能は既存の診断法と比較して良好な結果を示しており、除菌療法において効果的な薬剤の選択および薬剤の適正使用に有用です

他のH. pyloriの診断法
H. pyloriの診断法には、以下のような方法があります:
- 鏡検法:生検組織を顕微鏡で観察し、H. pyloriの存在を確認する方法
- 培養法:生検組織からH. pyloriを培養し、菌の存在を確認する方法
- 便中抗原法:便中のH. pylori抗原を検出する方法
- 迅速ウレアーゼ試験:生検組織に含まれるウレアーゼ活性を利用してH. pyloriを検出する方法
- 13C-尿素呼気試験(UBT):13Cで標識された尿素を服用し、呼気中の13CO2を測定することでH. pyloriの存在を確認する方法
- 抗体測定法:血清や尿中のH. pylori抗体を測定する方法
診断法の分類
さらに各診断法は以下のように分類されます:
- 直接法:菌体、菌蛋白、遺伝子を検出する方法(例:鏡検法、培養法、PCR法)
- 間接法:ウレアーゼ活性や抗体を検出する方法(例:迅速ウレアーゼ試験、UBT、抗体測定法)
- 侵襲的:内視鏡検査が必要な方法(例:鏡検法、培養法、迅速ウレアーゼ試験)
- 非侵襲的:内視鏡検査が不要な方法(例:便中抗原法、UBT、抗体測定法)
- 点診断:生検検体を使用する方法(例:鏡検法、培養法)
- 面診断:生検検体を使用しない方法(例:便中抗原法、UBT)
(加藤元嗣.ヘリコバクター・ピロリ菌.臨床検査ガイド2020改訂版,文光堂,東京,p.856-862,2020)
分子生物学的手法は、H. pyloriに特異的な塩基配列をPCR法やin situ hybridizationを用いて検出する方法ですので、直接法による正確な診断が可能です
各医療機関で実施している検査は異なりますので、ご確認ください
H.pylori抗体検査の問題点
検診でもよく実施される血清中のH.pylori 抗体の量を測定する検査ですが、そのカットオフ値はどのように決められているのでしょうか?
カットオフ値とは、H.pylori 感染の有無を判定するために設定された基準値です
カットオフ値以上の抗体量があれば感染していると判断され、カットオフ値未満なら感染していないと判断されます
しかし、実際には、カットオフ値未満でも感染している場合や、カットオフ値以上でも感染していない場合があります
これは、H.pylori 感染は一度すると抗体が長期間残るためです
H.pylori に感染したことがある人は、除菌治療を受けても抗体量がすぐには減りません
そのため、除菌後もカットオフ値以上の抗体量を示すことがあり、これを既感染と呼びます
逆に、H.pylori に感染している人でも、抗体量が低い場合があります
これは、H.pylori の菌量が少なかったり、免疫反応が弱かったりすることが原因で、これを陰性高値と呼びます
以前は、カットオフ値は10 U/mL とされていましたが、陰性高値の範囲である3 U/mL 以上10 U/mL 未満では、既感染者が約8割を占めており、胃がんのリスクが高いことが分かってきました
そこで、カットオフ値が3 U/mL である検査キットを使用するか抗体量を実際に定量することが正確な診断に繋がるとされています
胃カメラと同時にスマートジーンでピロリ菌の感染診断がおススメ
以上のように、H. pyloriの診断法は多岐にわたり、それぞれの方法には利点と欠点があります
適切な診断法を選択することで、より正確な診断と効果的な治療が可能となります
今後も新しい診断法の開発と改良が期待されます
胃の症状が気になる方は胃カメラと同時にスマートジーンでH.pylori感染診断ができる当院での検査をご検討ください

日本消化器病学会 専門医
日本消化器内視鏡学会 専門医
日本消化器内視鏡学会 上部消化管内視鏡スクリーニング認定医
日本消化器内視鏡学会 下部消化管内視鏡スクリーニング認定医
日本炎症性腸疾患学会
日本内科学会 認定内科医
